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これで孫が神官でなければ始末することも選択できるが、それは今の段階では無理だ。ローナもそれを良しとはしないだろう。
「魔力は多いんですか?」
「一般的な貴族の子と一緒よ。私も会ったのだけど、懐いてはくれなかったわ」
5歳の貴族のお子様とか、面倒くさそうだ。もう自我もあるし教育も受け始めていただろう。
取り潰しということは、スラムのお子様を虐待していた家な気がする。
「こう聞いてはあれですが、我儘な子なんですか?」
「それが、喋らないの」
「喋らない、と言うことは、自分の意思で喋らない?」
「ええ、前は話していたそうだから。それでも口数の少ない子だったらしいけど」
ギルマスに聞いてみますと答え、ただ期待はしないでくれと念を押す。
「それはもちろん。私の方からも、彼に聞いてみようか悩んでいたところに、あなたをお見かけしたので」
声をかけてしまったと、ローナは申し訳なさそうにしていた。
ごめんなさいね、と言われ、構いませんと笑顔で答え、ローナと挨拶をして別れた。
ジル様のためなら伝書鳩になろう、と冒険者通りへ行き、串焼きを買ってから魔術士ギルドへ行った。
受付のサヤへ挨拶をすると、本日クリス様はこちらへ来る日ではありませんがと言われた。
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