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「えーっと、信じる神がそれぞれ違うんですよね、精霊信仰みたいな? うまく説明できませんが、俺の国限定ですと八百万(やおよろず)の神々がいてですね」
「ヤオヨロズ?」
「八百万の神様です。大事にしている煙管には煙管の神様がいるみたいな。うーん……あ、土地神様? 各街に一柱の神がいてその土地を守っている、みたいな。なのですごくたくさんいるわけです」
「そ、そうなんだ」
さすがのジルも理解不能だったらしい。
とはいえ説明のしようがない。何せ八百万の神々を擬人化して、漫画やアニメにして楽しんじゃう国だから。
「にしても、遅いですね」
ジル様を待たせすぎじゃなかろうか。
この時間には連れて行くと決まっていたんじゃないのか?
ジルと水筒の中身を飲んで待っているのだが、一向に出てくる気配がない。
「例の子が雲隠れしちゃったとか」
「柱にしがみついて抵抗してるとか」
「すでに魔力を乱して威嚇しているとか」
「いっそ爆発してしまえ、みたいな?」
腕を組み指でトントンと二の腕を叩いているジルの様子に、相当苛立ってきていると空を仰ぐ。
「僕、こういう無駄な時間は嫌いなんだよね」
「連行してきましょうか」
「お願いしようかな」
「了解ですジル様」
探知を広げてローナを探し、教会の中へ入る。
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