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お子様の内包魔力は少しだけ乱れていて、たぶん長時間乱すと危険だとわかっているのだろう、慎重にうごめかせている。
なるほど。こうやって我儘を通しているのか。
うん、素晴らしい生き様だ。こいつはきっと、逞しく生き残ることだろう。
「失礼。魔術士ギルド、ギルドマスターの命で参りました。そちらのお子様が孤児院で暴走しないか、様子を見るのが任務です。ここで時間を取るのは無駄と判断します。よって、強制連行いたします」
中に入り、すたすたとお子様へ近づく。
「え? あ、あの、お待ちください。この子の魔力は乱れております。落ち着くまでお待ちください」
焦っているロジーの言葉に、にっこりと笑う。
「大丈夫でしょう」
お子様に向けて、ぽい、と種を投げる。
ふはははは、括目せよ、これがジル様お得意の植物魔術、
「捕縛」
なのだー! さっきジルから種をもらいました。
種から伸びたツタが、お子様の身体をぐるぐる巻きにする。それを肩に担ぎあげ、行きましょうか、と笑顔で二人を促した。
喋れない設定だと静かでいいなと、建物を出る。
ローナは苦笑しながらついて来ていて、ロジーはおろおろと泣きそうな顔でついて来ている。
「ああっ、あの、魔力の乱れが大きくなっております!」
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