妹の半分こ

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桜が散り、爽やかな新緑の季節。 今日で五回忌を迎えた。 「はるかー。行くわよー」 「はーい」 私の妹、町田みちるは五年前の今日この世を去っていった。 山登りの遠足中に崖から足を滑らせて……。 みちるはまだ八歳。 小学校二年生だった。 私とは二つ違い。 歳が近いということもあり、よく喧嘩になった。 亡くなる数日前も……。 問題は母が買い置きしてあったメロンパン。 すると、早速…… 「じゃあ、半分こねー」 そう言ってみちるがメロンパンを手に取ると手で半分にちぎり出す。 「はい、お姉ちゃんの分」 「あーみちるの方が多いー」 「えへへ。もう食べちゃったもんねー」 「ずるーい」 メロンパンに限らず、一つの食べ物を何でも半分こにしたがるみちる。 でもいつも手でちぎるのでちゃんと半分にはならず、多い方と少ない方に別れてしまう。 多い方はいつもみちる。 そんなちゃっかり者のみちるはもういない。 五年の月日が経った今でも私はみちるがいた時と同じように、一つのメロンパンを手でちぎると多い方のメロンパンを仏壇に供えた。 「はい、みちるの分だよ」 と、みちるの笑顔の写真に語りかけて。
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