第13章 もう一人にする気はない

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別に気にしないよ、と声をかけたけど、こいつに指示することもあるからと断って黒服の子と一緒に部屋を出て行った。 「…すみません、本当に。こんな夜中に」 恐縮して小さな声で呟くと、先生は真剣な表情を浮かべて静かに首を横に振った。 「そんなこと…。気にしない。酷いことされたんだね。可哀想に。…痛いところや不快に感じる場所はない?」 タオルで身体を覆いつつ、必要な分だけを開いて確認してゆく。わたしは自嘲気味に少し笑った。 「まぁ…、あんまりいい気分じゃなかったけど。今までも散々した相手にこれまでもされたようなことされただけって言えば言えるし」 先生は穏やかな声で宥めるように受け答えた。 「クラブでの行為とは同じにできないよ。完全にそんなつもりじゃない私的な時間と空間に無理やり入り込まれて、意に反した行為を強制された訳だから。これって普通に強姦だからね。今までしたことある相手かどうかは全然関係ない。配偶者だって同意がなければレイプ成立するよ。…非力な女の子の部屋を勝手に探り出して、大人数で押しかけて思い通りにしようなんて。…すごく怖かっただろうに」 「…はい」 優しい声で話しかけられて、ふっと身体の力が抜けた。 「怖かった、です。…やっぱり」 身体が今更ながらがくがく震え出した。先生はわたしの頭をそっと撫でて、優しい声で静かに語りかける。 「大丈夫、こんなことはもう二度と起こらないよ。夜ちゃんを守ろうとする人たちがたくさんいるからね。安心して周りを頼るといい。僕も出来る限りのことをさせてもらうし。…尤もあの人がこのまま黙ってるとは思えないけど。きっと徹底的にやるに違いないよ、容赦なくね」 まるでそんな話題が出てたのを承知してたかのようなタイミングで加賀谷さんがそっと部屋に入ってきた。少し急くような調子で先生に尋ねる。 「そいつ、怪我はないですか。何処か痛がってたりとかは」 「うん、そうだね。手首の縛られたところはちょっと強めだったのか跡が残ってるけど。あとは、結構な時間行為が続いてたのか、ちょっと赤くなって炎症起こしかけてるかな。明日になるとひりひり痛むかもしれないから、塗り薬出しておくよ。夜ちゃん、ピルはきちんと服用してた?」 「あ、はい」 わたしは慌てて頷いた。 「そしたら妊娠は大丈夫かな…。ゴムも一応ちゃんと装着してたみたいだし、ピルと両方ならまずまぁ間違いはないと思うけど。
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