イケメンたち。

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イケメンたち。

「じゃあ早速で悪いけど明日からよろしく~」 そうダルそうに言ってきたその中年の店長はなかなかのイケメンで接しやすそうな人と言う印象を俺に与えていた。 その中年のイケメン店長の肌はほどよく焼けていて、少し生えた(恐らくは生やしている)無精髭は汚ならしくなく、逆にワイルドでカッコいいなとさえ俺に思わせた。 そして、その中年イケメン店長はどことなくあの有名なハリウッド俳優のジョニーさんにどことなく似ていた。 「あ。そう言えばまだ名前聞いてなかったね。俺はこの店の店長で笠井(かさい)っての。下の名前は(とおる)。よろしく~」 中年イケメン店長のそのユルい自己紹介に俺は苦い笑みを溢さずにはいられなかった。 大体、面接も大概にユルかった。 聞かれたことは花が好きかどうかだけ。 だから俺は『好きです』と即答で答えた。 花は好きだ。 それに嘘はなかった。 本当に俺は花が好きだ。 花の名前とか一切、知らないけれど・・・。 花言葉とか一切、知らないけれど・・・。 それでも俺は花が好き・・・。 『花のことが好きならその他のことはどうでもいい』。 そう言うように中年イケメン店長の笠井さんは即答で『採用!』と言ってくれて、今に至っている・・・。 けれど、本当にいいのだろうか? いや、こちらとしたら採用は凄く有り難いのだけれどが、本当にこんなにユルい面接でいいのだろうか? 俺、履歴書もなんも提出してないぞ・・・。 それどころか名前さえも伝えてないぞ・・・。 本当に俺・・・大丈夫なのか? てか、この店・・・本当に大丈夫なのか? 俺は本当にいろいろな不安に襲われた。
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