母(はは)の話

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私の母の名前は小副川 昭子(おそえがわ しょうこ) 。 THE 山。THE農村。THE僻地。 正に、これ以上ない位、山深く、周囲に民家もない辺鄙な場所で生まれ育った、山娘だった。 一度、森林公園で木と木の間に立派な放射線に巣を張った蜘蛛の巣を見て 「子供の頃は、あれで虫網(むしあみ)作って虫取しとったとよ」 自分の産みの母親を、この時程遠く異端視した事は未だにない。 あれ=蜘蛛の巣 虫網作る=9の字型に木の棒をたわませ紐でくくり、円の部分に蜘蛛の巣をかける だそうだか、「再現しようか?」と言う母親の提案を私は全力で謝絶した。
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