母(はは)の話

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あれは、私が小学4年の初夏だった。 仲良しの友人二人に、お小遣いを貯めて隣町の繁華街にその頃まだ珍しかったファーストフードショップに、ハンバーガーを食べに行こうと誘われた。 私はその頃お小遣いが週に310円で、特におやつを用意されていないので、時々駄菓子屋で1個50円の羊羹を買ったり、10円のヨーグルトや飴玉を買ったりしていたら、お金何て貯まらない。 お年玉は、通帳に全部入れられていて、滅多な事じゃ下ろして貰えない。 私は、無理だと最初断った。 すると友達は、『ファーストフード』は嫌いなのか?と尋ねられた。 勿論嫌いなはずはない。 スーパーのお惣菜のハンバーガーはハンバーグとトマトとキャベツとかが入っている。 けれど、ファーストフードのハンバーガーは刻んだ生の玉ねぎやしょっぱ酸っぱいピクルスが入っている。 これが、大好きだった。 それに、一緒に食べるポテト何て、一度でいいからお腹いっぱい好きなだけ食べられたら良いのにな……って願うほど好きだった。 『行きたいけど、お金がない』 少なくとも、500円はないと、ハンバーガーとポテトとドリングの付く商品を買い求められない。 『じゃぁ、私達が足りない分は出してあげるから、一緒に行こう』 私は軽い気持ちで、二人の好意を受け入れ、2週間後の土曜の午後にファーストフード店に行く約束をした。
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