母(はは)の話

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事の起こりは、小さな学級内のトラブルだった。 私は1組で、私をファーストフード店に誘った二人は、2組の子だった。 約束の土曜の朝、私は職員室に呼び出された。 子供だけで、繁華街に食事に行ってはいけません。 担任は一言私に注意して、それでその時はそれまでの事だった。 大事になったのは、その日の放課後。 私の家に、二人が遊びに来てからだった。 最初、二人は口々に今日学校であった事を私に愚痴った。 『一昨日さ、同じクラスの愛ちゃんがうちらの話を盗み聞きして、私も連れて行ってって言い出したっちゃけど、うちら3人で行きたかったけん断ったとって、そしたら、昨日の帰りの会で先生にチクったっちゃん!』 『いいやん!! うちらの勝手やん? そうやろ?』 私は、特に今更ハンバーガーに対する熱が無かったので、それとなく、二人の話に合わせていつもの様にテレビゲームをして遊ぶのに熱中していたが、その後が酷かった。 『ちょっと、良いね? 今、先生から電話あったよ!! どういう事?」 下の階で仕事をしていた母が、正に般若の形相(不思議だがその頃は本当にそう見えた)で私達の前にやって来て、ご丁寧にゲームの電源を取っているコンセントを引き抜いて吠えた。 『お金を勝手に使ったら駄目でしょ! お小遣いだって、親が一生懸命働いて稼いだお金なんよ!』 母さんは、なぜか、私ではなく、私の友達二人を見ていた。 『先生がハンバーガー食べに行く計画を立ててましたって言うから、うちの子はそんなところで物を買える様な小遣い上げてませんって言ったら、貴方達が変わりに出すって話しだったって!! 親から貰ったお小遣いで人に物を奢るなんて何考えてるの!! いい加減にしなさい!!」 お母さんは言いたいだけ言って、さっさと仕事に戻って行った。
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