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「どうしてこうなった」
高山敦は力無くぼやいた。
覇気を微塵も感じさせない無気力無感情なぼやきだ。
結論から言うと、彼は異世界に来てしまった。
唐突に、何の前触れも無く。
車に撥ねられることも、突然光に包まれることも無く。
いつもの様に学校に行こうと自宅のドアを開けると、既にここに立っていた。
自称神様の説明もなければ、国の危機を救うためにと召喚した王女様もいない。
家のドアを開けただけで異世界の山頂に取り残された。
「おうちに帰りたい」
振り返っても家のドアは見当たらない。
空を見上げれば、何が楽しいのか火を吹き掛けあってじゃれつくドラゴンのような生き物がいるだけだ。
強いて言うなら、この世界の空も青い、太陽も眩しい。
ドラゴンさえ見えてなければ、淳もここが異世界と思うことは無かっただろう。
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