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ならば、と今度は静かに目を瞑る。
心を落ち着かせ、意識を体内に集中させる。
(何か感じろ……!マナでもオドでもチャクラでもプラーナでも何でもいいから!)
淳の集中力は、彼の人生で類を見ない程に高まっていた。
高校受験の時にさえ、これ程の集中力はなかっただろう。
十分後。
特に感じることはなかった。
漲る力は何も無く、あるのは途方も無い虚しさだけだった。
「なんだよ……!もうっ!」
小石を掴み地面に叩き付ける。
「期待したのに!ちょっと期待してたのに!馬鹿みたいじゃん!俺!」
地面を何度も蹴る。
単なる八つ当たりである。
無論何も起こらない。
「もういい!俺異世界やめるっ!」
彼は別に情緒不安定な訳ではない。
異世界転移という夢のような状況下で、夢を見て、舞い上がり、空回っているだけだ。
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