車内にて

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そのまま黙ること1時間以上。 たまに流れるアナウンスと、たまに駅で停まる新幹線。 …このまま止まらず東京駅まで一気に行ってくれよ。 そろそろ酸素不足で倒れそうだ。 濃度が高くて、目眩を起こす寸前の状態。 いっその事この酸素不足の海で溺れてしまおうか。 たとえ窒息死したとしても、 ここから………こいつから逃げられればいい。 ま、酸素漂うこんな場所でそんな事は不可能なんだけどな。 新幹線の中で、こんなに緊張感がある席なんて他にないだろう。 ……あぁ、早く東京駅に着け。 そこで降りるしかないんだから、嫌でも解放される。 嫌でも? はっ、まさか。 俺はこの状況からの解放を願ってやまない。 タイムリミットは刻々と近づいてるんだ。 目を閉じて寝たふりしてれば、あっという間だろう。 残りたった30分だ。 何も喋らなければいい。 このままやり過ごしてくれよ。
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