Ⅴ. 遅れてきた誓い

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 祐基の肩に凭れたまま、林檎をかじる彼の腕に腕を絡める。そして私から手を繋いだ。  しっかりと指を絡めて。  下から見上げるみたいに、ゆっくりと林檎を齧る祐基を見つめる、見つめ続ける。  シャリッという音が、少しだけ大きくなった気がする。私も林檎を齧る。祐基の音に重ねるようにタイミングを合わせた。 シャリッ シャリッ その音に祐基はようやく私と視線を合わせてくれる。  林檎を持ったまま見つめ合ううちに、祐基の瞳に優しい穏やかな光が戻ってきている気がした。  祐さん、ゆっくり行こう。私たちだけのペースでゆっくり。  視線を逸らさず、そんな想いも、ごめんなさいも、ありがとうも、私の心の中のすべてを籠めて言った。 「祐さん、愛してる」  祐基の頬が少しずつ染まった。それを見て私だって恥ずかしくなってくる。そんな私に気づいたのか、家に帰って初めて祐基が口を開いてくれた。 「僕も、一生愛しています」  神父様には申し訳ないけれど、私たちはようやく本当の愛の誓いを言葉で交わせたんだと思う。  病めるときも  健やかなるときも  祐基を愛し続けることを  祐基の側にいることを  祐基に愛され続けることを  誓います。   〈fin〉
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