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すうぅ……はあぁ……
「いざ!」
深呼吸をしてから目をつぶってえいやっと乗っかる。
どんな結果であっても受け入れる!そして絶対痩せるんだ!
薄目を開ける。そこに映し出された数字が少しでも少なく見えるように。
結果は驚くべき数字だった。
「ふんふ~ん♪」
ご機嫌で出勤する。今朝のあの不愉快さはどこへやら、思わずスキップまで飛び出る始末である。
「おはよ~。どしたの? 気持ち悪い」
隣の席に座る同僚、亀井勝子が心配そうに毒を吐く。こいつは口は悪いが、昨日の飲みにも付き合ってくれる良い奴だ。
「おはよ~! んふふ~、実はねぇ……?」
「何、デブった? まあ昨日のあの食べっぷりじゃぁねぇ」
「チッチッチ、それが逆でね。なんと痩せたのよ!」
勝子は露骨に呆れてみせる。
「あんたね……昨日のあれで、何で痩せるのよ」
「今朝体重計乗ったら痩せてたんだもん。それも何と前に計った時の半分!」
いよいよ勝子は呆れている。
「体重計、壊れてるんじゃないの?」
「そう思うでしょ? そう思っちゃうでしょ? でも違うんだなぁ、これが。
私も壊れてる可能性を感じて、二つ目の体重計に乗りました」
「何で二つも持ってるのよ」
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