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次の日、ジェレミーは村長に呼び出された。
「もう我慢ならん!」
かなりご立腹の村長には、もう恩赦は通じないだろうか?
だが、ジェレミーは引くつもりはなかった。
諦めたら、そこで終わりだ。
「もう少し、もう少し待って頂けますか?
奴らは僕が必ず…!」
「人喰らいを引き取るというのか?
この村から出ていけというだけでは足らん!
猛獣など、初めから捕まえてシチューにしておくべきだったんだ!」
「だが、そもそも…!」
「まだ言うか!」
いまだ猛獣の処分に対立するジェレミーは、村長の一喝で黙らざるをえなくなる。
この村ではジェレミー一家だけが除け者なのだ。
共同社会である以上、自分だけが好き勝手するわけにはいかない。
彼は独身だが、両親は村にいるのだから。
数日後、村人の狩りで捕まった3匹の動物はジェレミーの目の前でシチューとなり村人に振る舞われた。
ジェレミーは食べるつもりはなかったが、何とか彼らの骨は回収出来たので家の横に彼らの墓を作って骨を埋めた。
この村の歴史は浅い。
3年ほど前、この村が出来たとき…いくつもの動物が住み処を追われた。
動物たちは食料を求めて村に近づいたが、そのたびに人間と争うことになる。
ジェレミーはその動物を引き取って、猛獣使いのショーをすることで村に貢献することを思いついた。
しかし、駄目だった。
芸術だろうが、鞭でしばいて見せ物にするなど動物が納得するはずがない…しかし鞭を使わねばメリハリのあるショーは作れない。
動物は、人間相手のように言葉で語ることは出来ないのだから…。
人間と動物の領界…人間は長年多くの動物と共生してきたがいまだにこういったいざこざは絶えることはなかったりする。
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