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30分で、一万円
半日で、三万円
一晩で、五万円
アクツ堂の魚の値段設定は客に良心的だ。ここの魚は、小松組に捕獲されたのばかりだから、安くても困らない
売り上げは全部
小松組の懐にだけ入っていくのだから。にしても、暇だなあ
激しい肉体労働で躯を壊したのが十五匹。性病を移されたのが三匹。計十八匹の魚が仕事を欠勤中
そのせいで、アクツ堂の陳列棚はスッカスカ
「ヨシキさん。今日も不漁かい?」
佐野屋の旦那様は僕のお気に入り。僕の咥えていた煙管をスッと抜いて一服、されても腹は立たない
「そう、ごめんなさい。旦那様」
佐野屋の旦那様の腰骨の上に置いた手をツツーっと、股へ移動させていく。鼻息を荒くし、大きく股を開いた旦那様のジッパーを下ろし
トクンクスの前開き部分から、スルッとダンコンを取り出す。さあ、楽しもう
思ったのに、邪魔が入った
カタカタ下駄の音を響かせ、隣の高崎屋の女将が顔を出す。女郎から主人の妻に収まった女は何かと言えば、僕につっかかってくる
「あー忙しい忙しい。あらぁ、アクツ堂さんはいいわね。優雅におやつを頂く時間があって、羨ましいわ」
暇なのは僕のせいじゃないけど
「おや高崎屋さん。僕は元が良いので化粧をしておりませんがアナタ、汗をかきすぎて白粉がハゲてらっしゃいますよ」
嗤われるのは気に入らない
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