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原色の街
ここに来るのは欲望を胸に秘めた男女ばかり
身を売りたい者と、その身を買いたい者だけが集ってくる
洋風の家の入り口に座る女性たちの衣装はさまざま、ポロリしそうな胸、むっちりした白い太腿、それぞれが工夫を凝らし客を呼び込んでいる様子
中には正面から抱きついて
男の耳元で囁いたり、女性を広い胸板に抱き込む者もいるけど
ここ、アクツ堂鮮魚店ではそんな事はしない
なぜなら
「よしきさん。いい魚はいるかい?」
店主代行を担う僕を目当てに、客の方から寄ってくる
ねっとりした視線が顔をなめ、首筋に流れ、椅子に腰掛ける僕の股へと移動して、ごくりと唾を飲んだ
脱いでないけどね
特別に仕立てた白スーツの生地はライトに照らされると、うすーく透けて
僕は下着はつけないから、というか持ってない
黒々とした毛玉とダンコンの影が浮かび上がり、見えそうで見えないエロチックさを演出してる
「旦那様の眼鏡にかなうか分からないけど」
おいでおいで
手招きすればヨダレを垂らしそうな表情で、僕へと近づいてきた男
彼のでっぷりしたお腹にあてた手を、ゆっくり下へ移動させ
「昨夜、新鮮な魚が一匹、入荷したんだ」
「ほう?」
膨らみの形を指でなぞり、はあはあ、荒い息を吐く脂ぎった男の耳元に唇を寄せた
「僕の代わりに躾、してくれない?」
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