ごっこ遊び

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一度、金髪魚の写真の前を通り過ぎていく。小芝居を挟んで魚を選んでる風を装った男の、演技の下手さを僕、笑ってしまいそう ふふ、ふふはははぶえっくしょい 爆笑しかけた自分をくしゃみでどうにか、押さえ込んだ。僕はワクワクしてる。性に対して純粋な行為しか知らない男に、苦痛や残酷の快楽を教える瞬間が、待ち遠しくて堪らない 「なあ、気に入ったコがいるんだけど」 んー? なになに 僕の腕を掴んだ男は金髪魚の写真の前に僕を立たせ、背後から抱きついてきた。ヒャッホー、人質だ、僕 ドキドキ、ワクワク 何も分かってない純粋な表情を作って、首を捻り、男に微笑する 「お目が高い。こちらはアクツ堂の人気商品でして、予約で対応させて頂くか、マジックミラー越しの見学をご提案させて頂いております」 「見学・・・・・・? ああ、モテそうな顔してるもんな、コイツ」 男の脳裏に浮かんだ情景はともかく、男が乱入することで面白くなることは、間違いない 金髪魚の見学希望を申し出るお客様が多いのは事実。でも、見学を希望するのは和菓子職人の旦那様の忠実な下僕ばかり 直立不動でじっと、和菓子職人の旦那様の行動を見つめ続け、もしアレが自分であればと妄想し、恍惚とした表情でお金を払ってくれて、お礼まで言って立ち去っていく アクツ堂の上客とも呼べる彼らは数日ぶりのショー、療養から復帰した金髪魚を買い付けた和菓子職人の旦那様を観るため 両部屋マジックミラー つまり、向こう側からも丸見えな部屋で、甘美なお仕置きを受けている最中だ。彼ら以上に、ショーを中断され激怒する人間はいないだろう部屋へ 「先ずは見学でいい。店長さん、案内してくれよ」 喜んで、案内してあげる
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