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和菓子職人の旦那様の発想は面白い
鼻の穴に指を突っ込んで『ねむりひめ』の躯を引き摺る光景は、衝撃だった。でも、二度見はしてないし、三度、四度と確認して見るほど、度肝を抜かれたわけじゃなかった
チラリ
横目に見れば放心状態の男と、陶酔しきった下僕の対比が素晴らしい。写真に撮って残したいけど、動きたくないから止めておこう
ジューッ
肉の焼ける音が聞こえてきそうな焼け具合に僕、唾液がたまっちゃった
炭火焼きっていいよねー、最高に美味しいもん。じわじわ、火の通った高そうな肉からポトリ、油が垂れていく
左の野菜もいい感じじゃない?
焼き肉のタレと塩。二種類のタレを同時に楽しめるよう金髪魚の腹の上に用意して、焼けた肉をトングに取り
「おい、嘘だろ? 止めろ、止めろって!!」
《ガンガンガン》
あ、気付いた。
マジックミラーを拳で叩く男はスルーして、僕に微笑んだ和菓子職人の旦那様は躊躇することなくタレに肉、野菜を塩の上に置いた
《ビクビクン》
陸に上がった魚が跳ねる。まさしく、そんな感じ
でもそれだけで終わらないのが、和菓子職人の旦那様の凄いところだ。小さなバーベキューコンロは金髪魚の、右の太腿と左の膝より少し上
動けば当然、金髪魚の肌は炭を置くトレイに触れた。うわ、痛そー。煙りがトレイの下からモウモウとあがってる
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