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と言っても、アクツ堂の商売部屋に鍵はないし、魚を拘束してるわけでもない
金髪魚の上半身を皿代わりにしてるけど、起き上がって、バーベキューコンロを外せばいいだけなのに動かない、魚の意思で、ね
「あの・・・・・・友だちがいて、あっちに、行きたいのです、けど」
アクツ堂鮮魚店で販売するのは魚。ふつう、人間と魚は会話はできないでしょう? だから僕もねー、不必要な魚との接触は禁止されてるのよ
とはいえ、可愛い
和菓子職人の旦那様をじっと見つめ、彼の唇を首筋から肩に受け吐息を漏らす僕をすっと流し、不安、絶望、恐怖を滲ませた瞳を揺らす金髪魚に僕、胸がキュンとしちゃう
もしかして、恋しちゃった?
可哀想だねー、好きな男に苛めれてばかりの金髪魚。苦痛さえ愛おしいと思ってたのに僕を愛撫する旦那様は、ただのスケベに成り下がってる
辛いね
悲しいね
ショックだねー。でも、美しい僕が相手じゃ恋の勝負にならないよね。しかも、閉じ込められた魚の身じゃ何も言えないから、耐えるしかない
うう、なんて可哀想なんだろう
僕、僕、夢の中を漂ってるみたい、サイッコーの気分! 僕、金髪魚の心の重荷を、軽くしてあげたい
「気持ち悦さそうだね隣の人。普通の男だと思ってたのに腰が揺れてるよ、抱かれる才能のあった人なのかな?」
とろ一んとした表情の男の股にしゃがみ込んでるのは、下僕。尻を両手で掴み広げ、舌を伸ばしてペロペロしてる
ときどき、ビクン
眉を切なげに寄せ、つま先立ち、縛られたダンコンをマジックミラーに擦り付け、全身を震わせるのは下僕が尖らせた舌で菊門をこじ開け、菊内に侵入させ、ツンツンしてるからだと思う
「尻の刺激に弱い男は多い。コイツは特にいい反応をするが、女にしか興味のない男でも尻を打たれれば飛ばす。だが、ありゃあ素人だろう。行き過ぎるようなら止めてやるさ」
それでいいんだろう?
僕の胸に顔を埋めた旦那様が上目遣いで問いかけてくる。うん、頷いた僕が最後までする気でいることも、分かってるみたい
傷付けてあげる。僕を利用した罰だよ、ね? アクツ
横たわった僕は防犯カメラを見つめて、微笑んだ
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