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壁際に立つ小松くんは機嫌が悪い
僕の長兄の小松くんを呼び出したいと、もう疲れたは同義語。酷いことをする父親だけど、小松くんは疲労を訴える僕に甘い
欲望より僕を優先する父親の顔をした小松くんを僕は、好き
イライラと弄ぶネクタイを、血管の浮いた手で引きちぎってしまいそうな小松くんに、長兄の小松くんが詰め寄っていく
「これは、すべて新札じゃないですか! まったく、父さんは由貴に甘い」
「通帳に入れれば関係ねえだろう」
ふふ、ふふふふふ
小松くんは責められるのが嫌い。声のトーンを低くし、ネクタイを振り上げ、ピシッと空を裂く凶悪な眼をした小松くんに気づかないなんて、おバカさん
僕は長兄の小松くんの、鈍さが好き
小松くんとの行為に気分が乗らない日は、小松くんを怒らせる才能に恵まれた長兄の小松くんを呼び出し遊ぶのが、一番!
「真新しい紙の匂い、仄かに香るインク独特の芳香。ああ、何て官能的なんだ」
銀行員だからねー、次兄の小松くん
ファザコンの彼は小松くんのために、必ず新札を用意する。折れてたり、人の手垢のついたお金を小松くんにはゼッタイ、渡さない
でも、新札にしか関心のない長兄の小松くんには、新札を渡さない。次兄の小松くんの意地の悪さが僕、好き
あれ?
長兄の小松くんの行動がおかしい
新札に鼻を近付け、腕をさすり、腰を振り、右へ動いてしゃがみ込み、右の手袋を外して、ジジジとジッパーをおろし、重い腹の肉を持ち上げ、右の手を奥へ忍ばせていく
は・・・・・・あ
恍惚とした顔になった。ジイだジイ。僕は長兄の小松くんしか知らない、お金の匂いでジイする変人
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