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目が覚めたのは自分の部屋。カーテンの隙間から漏れる光は淡く、夜の色が混ざってる
「うー、頭が重い、重すぎる。寝過ぎたかな、それとも」
なんとなく腰の上にかかる上着を胸まで引き上げ、股へ手を伸ばし、二つの球をおさめたコー丸に触れる
だらしなく伸びきってもないし、縮んでもいない
寝てる間に抱かれたわけじゃなさそう。そう判断したはいいけど、怠いものは怠い
「今日も休もうかなあ」
僕が居なくても、例のお下がりがいるし、珍しい躯を見せびらかしていれば客も入るだろう
取り敢えず、一服しようかな
寝返りを打って、陶器の灰皿に目を向けた。ぐしゃぐしゃに潰れた吸い殻から、葉が散ってる。半分も吸わずに、強く押し付けられた吸い殻を残した人物は、相当、イライラしてたっぽい
「じゃあ、コレは誰のさ」
そのまま上着を手に取ってみる。ふうん、へー、ほお~。まあ、いいけどね
仕事の誘いに来たのかも
やっぱりさ、座ってるだけで客を呼び込めるのは美しく、格好いい僕くらいだよね。いいよ、出勤してあげる
シャワーを浴びてから、小松家の運転手に声をかけた僕は、アクツ堂の裏口に降り立った
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