菊提灯

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フン! ちらちら、僕の様子を窺うアクツから、ぷい。顔を背け、杏のタルトを食べる。うん、美味しい 昨日、ダンコンを絞った僕に対するアクツの行為は、非道極まりなかった。普通さ、イきたくないからって首締める? 嫌だったのにガツガツ穿たれて感じちゃうし、もう最悪。挙げ句の果てに 『気絶するまで犯したい』 獣の宣言を実行しやがった。三時間だよ、三時間。ドーナツクッションないと座れないし、腰はぐだぐだだ 「なあ頼むよ、金が要るんだ今日中に150万。煮ても焼いてもいいからさ、この女を買ってくれ」 チッ たった150万の価値しかないと思う女を売るな。ヒモならヒモらしく、与えられた生活をしろっての イライラしちゃう、僕 「余所へ行け」 「待って、お金がないと彼の命が危ないの。一生懸命働きますのでどうか、雇って下さい」 はあ? マジで言ってんの。女が身を売ってまで守る価値がある男か、横目で観察 自分が女にモテると知っている明るい茶の瞳は狡猾に輝き、しなやかに動く脚は逃げ足が速そうで、女に目を向け、苦しげに歪めた表情は裏切りに慣れている 詐欺師だ、この男 女の貢ぎへ体で代償を払うのがヒモ。ヒモの習性を逆手に取り、詐欺を働き、貢いでくれた女を売るとか世の中を舐めすぎ、だよねえ
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