菊提灯

5/11

60人が本棚に入れています
本棚に追加
/93ページ
数分前まで、愛してるよ。ヒモをガン見する彼女の肩を抱き、囁いてたのにねー 僕を声を震わせ口説き、欲望のため息を吐いてんだもん。呆れたよね 目、覚めちゃうよね 男が芸達者なサルに見えるよね! 身を売ってまで守るのがサルじゃあねえ、やる気、なくなっちゃったでしょう。青ざめた彼女の肩をアクツが抱く まあ、無理もない ヤー公の悪どさ全開のアクツの容姿がイケメンでも、暴力に慣れた気配は怖いし、王子の爽やかさは欠片もないもんね。にやっと(本人は微笑のつもり)されたら、内臓取られるの? って顔になるわな 「ほんと? じゃあさ、上に行っててくれる? 値段交渉したいから、ね?」 男衆に合図を送った僕。うきうきした足取りのサルと男衆が階段を上がっていくのを見届けた僕は、いざ出動 よっこらしょ。 ストライキを起こす腰に《立て!》指示を出し、よたよたと立ち上がる。くっそー、颯爽と立ち上がって爽やかに彼女を口説きたいのにこれじゃ、ヨボヨボのじいさんだ にこっ 微笑みながら僕は彼女の側まで行き、アクツとバトンタッチ。王子様風爽やか微笑を向け、ゆっくり、優しい口調で声をかけた 「お嬢さんの来るところじゃないよ、この街は」
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加