菊提灯

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「・・・・・・え?」 「お嬢さんの瞳は底辺を這う人間では表現できない、素直で綺麗な色をしてる」 惹きつけすぎず、引き離しすぎない。女とする微妙な駆け引きも楽しいけど、僕は泣かしたい。サルを全力で号泣させ、絶望に追い込み、悲鳴をあげさせることで溜め込んだストレスを 発散したいんだーーーッ!! 号泣するサルを思い描き、にーっこり微笑む ぽわーっと染まる頬、潤みゆく瞳。彼女の中から完全にサルの呪縛を取り払えたかを 「知りたくないだろうけど、さっきの男は悪党だ。ときどきいるのさ、金になりそうなお嬢さんにくっついて貢がせるろくでなし。放置しちゃならない類の男だよ」 「ええ・・・・・・そうね、そう思うわ」 夢見る少女のように小さく頷いた彼女の声と仕草で、サルへの寵愛は失したことを確認した。後は、彼女にお引き取り願うだけ 「お嬢さん、あなたと不似合いな男から逃げなさい。男がお嬢さんを追いかけたりしないよう、アクツ堂で少し、脅しておくよ」 徹底的に、ボコボコにするから安心して。 爽やかに微笑む僕を見つめる瞳をうっとり、潤ませてる彼女にここがどういう場所か、思い出して貰おう。僕は僕の絹髪を耳にかけ、話を終えたことを知らせる 「送るぜ。安全な場所まで」 サラリーマン風の男衆がスッと身を寄せ、青ざめた彼女の肩を抱き、押すようにして裏口から退出していった
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