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「気に入ったか。金髪」
駐停車禁止。
どころか、歩行者道路の路上に停めた車の窓から顔を出して、アクツが言った
「黒い外車じゃないんだね」
「ヤ一公は黒の外車ってか。そりゃあ、ドラマの見すぎってやつだ」
白いワゴン車からアクツが降りてくる
長身に有名ブランドのスーツがよく似合う。胸ポケットからタバコを取り出し、薄い唇に挟めばアクツの前に膝をついた部下が、さっと火を点けた
「どこで拾ってきたのさ、あの魚」
ふうーっ
煙を吐き出したアクツの唇は、にやにや笑いを浮かべてる。いつもだけど、口元に笑みを終始浮かべてるアクツの目は、笑ってない
笑ってないことに気づけず、見目のいいアクツに油断するアホがたまにいる
もしかするとあの魚も、アクツの罠にかかった哀れな魚かもね
「ちょっとな」
ふん、口を割る気はないってことね
まあいい
無理に聞き出したいほどの興味はないけど、少しの関心はある
「ここで飼うの?」
「おまえ好きだろ。ガタイのいい男が悲鳴あげる姿」
「うん、好き」
イっちゃうくらい、大好き
「アレを餌に数匹釣る予定だ。暫く楽しませてやるよ、だから、な?」
なーにが、な? なわけ
とは聞かない。僕の手首を掴んだアクツに、ぐいっと引っ張られる。ああ、肌に食い込む指が堪らない
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