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「はいはい。イケメンデスネー。」
「チッ。反応薄いな、つまんねー。」
この流れはいつも一緒。
俺が屋上まで迎えに行ってグダグダ言い合いながら裏庭に移動する。
一年前はそのまま屋上で昼飯を食っていた俺たちだが、どこからか情報が広まったのか恭弥目当ての女子生徒が弁当を持って押しかけてくるようになった。
非常に厄介なことに恭弥はこの学校では絶大な人気を誇っている。
成績優秀、スポーツ万能、有名企業の御曹司、モデル並みのスタイルに整った顔。
天は二物を与えるってことだ。
横目で腹減ったとかぶつぶつ言ってる恭弥を見る。
長めの茶髪を後ろでまとめて、中学の時に開けたと言うピアスホールには高そうなオニキスのピアスが付いている。
「何?俺に見惚れてた?」
すっと近くなる距離に後ろに体を引きそうになるが堪える。
「お前の顔なんて見飽きたわ。」
嘘。透き通った蒼はいつ見ても綺麗で飽きることはない。
先祖返りだと言うその色から目をそらしてバレないように距離を離す。
「可愛げねぇやつ。」
「ほら、時間なくなんぞ。」
早く脈を打つ心臓を無視して足を早めた。
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