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まずい。また、意地悪な啓太とはち合わせしてしまう。わたしは、啓太が来たことを確にんするとすぐに、わき道にそれた。
啓太はわたしがいるほうに向かってきた。わたしは、急いで次の道を曲がった。電信柱のかげにかくれて、様子を見る。
その道を真っすぐ行ってくれれば、はち合わせしないですむ。けれども、啓太は分かれ道のところで、キョロキョロと周囲を見ている。このままでは、見つかってしまうかもしれない。
啓太はスマホらしきものをのぞきこみながら、首をかしげて、わたしとぎゃくの道へ入って行った。
わたしは、そのすきに、電信柱のかげからぬけ出し、啓太とぎゃくの方向めがけて走った。
わたしは今、だれかが持っているかたわれのロボットをさがすために、おばあちゃんの家を出たところだった。10才のたん生日に、おばあちゃんにわたされたロボット。実は、このロボット、似たようなのがもう一体いて、それをだれか別の、わたしと同じくらいの年ごろの子が持っているらしい。
実はわたしの両親は、わたしが生まれて間もなく、交通事故でなくなっているらしい。わたしは、おじいちゃんとおばあちゃんに引き取られて、そのままそこで育てられているのだ。
まだわからないことだらけだが、おばあちゃんは、このロボットのかたわれを持つ相手が全部、知っているはずだと言っていた。
でも、いったい、だれが持っているのだろう。そのかたわれを。
わたしは、手にしたロボットをながめた。それは一見、おもちゃのようなロボットだ。けれども、これにはいくつか、機能がついているらしい。
わたしは、啓太が追ってきていないことを確にんした。大じょう夫だ。啓太はまだ、わたしがここにいることに、気づいていない。
わたしはよくわからないまま、ロボットのボタンを一つ、おしてみた。
すると、ロボットのふちが光り始めた。赤、むらさき、青、緑、黄色。これに何の意味があるのかは、わからない。でも、ちょっとおもしろい。
わたしは、他のボタンもおしてみた。
けれども、今度は何が起きたのか、まったくわからなかった。
「あれ?」
わたしは、ロボットをくるくると回しながら、何か変化が起きていないか、確かめていた。
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