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道を曲がると、つき当たりに一けんの家が見える。
「ここは?」
わたしはつい、聞いてしまった。
「オレの家」
やはり、とんでもないところへ連れてこられてしまったようだ。
「もとい、お前のじいちゃんとばあちゃんの家でもあるが、な」
は? 今、この人、何て言った?
わたしは耳がおかしくなったのだろうか。いったい、啓太の家と、わたしのおじいちゃんとおばあちゃんの家に、何のつながりがあると言うのだろうか。
わたしは、流されるままにするしかなかった。
「上がれよ。遠りょはいらないから」
そう言われた。げん関のドアが開き、啓太はわたしの手を引いたまま、中へ連れこんでいく。正直、じょう談もほどほどにしてほしい。
「啓太、お願いだから、家に帰らせて!」
わたしはたのんでみる。
「ダメ。さっさとくつをぬいで、上がれ! それとも、オレがぬがせてやろうか?」
それだけは、何としてもごめんだ。わたしは首を大きく横にふり、仕方なく、くつをぬいだ。
フローリングのろう下だが、部屋につながるドアはふすまらしい。
「ただいまぁ! ばあちゃん、ビッグニュースだぜ!」
啓太は大きな声でさけんだ。すると、おくのふすまが開いて、一人のおばあさんが出てくる。
「おやまぁ、啓太。お帰り。そっちのおじょうさんは、もしかして……」
「あぁ、例のかたわれだ! やっと見つけたよ」
大変だ。何のことだか知らないが、このロボットがねらわれているのは、間ちがいなさそうだ。
「え、ちょっと、やだ、わたし、帰る!」
啓太の手をふりほどこうともがく。
「啓太、ちゃんと説明しなくちゃ、かわいそうでしょうが」
おばあさんが啓太に言った。
「え、オレ、だって、コイツにお前のじいちゃんとばあちゃんの家でもあるって言ったぜ?」
は? えぇと、つまり、この人は、この目の前のおばあさんが、わたしのおばあちゃんだと言いたいのだろうか。
いやいや、会ったこともないし、意味がわからない。
「そんな説明じゃ、わからないでしょう、ねぇ、有希ちゃん」
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