兄妹ロボット

6/7
前へ
/7ページ
次へ
 示された階だんをおりて行くと、目の前に、何か大きな機械がある。 「これは、ここ。ほら、ロボット貸して。あるいは、そこに置いて」  言われる通りにすると、何が起きるだろうか。わたしは、知りたいの半分、こわいの半分でロボットを置いてみた。  と、ピーッという電子音とともに、目の前のドアが開いた。 「ここだけは、親父がつくったところでさ、ハイテクになってるんだ」  啓太は再び、わたしの手を引いて、その中へ連れて行く。わたしは、連れて行かれるまま、いっしょに入るしかなかった。内心、こわいという気持ちもあったが、本当にこまったら、ケータイでおばあちゃんに電話でもしよう。少なくとも、ケータイを取り上げられてはいないのだから。  部屋のおくには、たながあり、アルバムや本がたくさんあった。つくえとイスもある。四人ですわれるようになっていた。 「なるほどなぁ、これだったのか」  啓太は、感心するように言う。そういえば、わたしがロボットを一体、持っていたのだから、啓太もここへ来るのは初めてだったのかもしれない。  啓太はわたしのうでを解放すると、一さつのアルバムを手に取った。 「見ろよ、これ。これが親父、こっちはおふくろ。で、これがオレで、これがお前だろうな」  え? わたしは、にげようと思った足を止めた。いったい、何を言っているのだろうか。 「しっかしなぁ……まさか、お前だったとは……ひでぇよ、バラバラにするなんて」  ふり返ると、啓太がアルバムを手に、泣いていた。 「啓太?」  啓太はわたしのほうを見なかった。アルバムを立て、かくれてしまう。 「オレさぁ、お前のこと、かわいいと思ってたんだ。それで、つい、意地悪しちゃってたけど、まさか、お前がふた子の妹だったなんて、知らなくて」  え? ふた子って? 「親父とおふくろ、オレたちがまだ2才くらいのときに、死んだんだよな。それで、行き場のなくなったオレたちは、親父とおふくろのそれぞれの実家で、バラバラに育てられてさぁ、そのロボットだけが、お前を見つける手がかりだったんだ。オレの持ってたロボットには、図面のかたわれだけ入ってて、お前のほうに、もう半分の図面と、GPSがとうさいされていたのさ。オレが見つけ出せるように」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加