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示された階だんをおりて行くと、目の前に、何か大きな機械がある。
「これは、ここ。ほら、ロボット貸して。あるいは、そこに置いて」
言われる通りにすると、何が起きるだろうか。わたしは、知りたいの半分、こわいの半分でロボットを置いてみた。
と、ピーッという電子音とともに、目の前のドアが開いた。
「ここだけは、親父がつくったところでさ、ハイテクになってるんだ」
啓太は再び、わたしの手を引いて、その中へ連れて行く。わたしは、連れて行かれるまま、いっしょに入るしかなかった。内心、こわいという気持ちもあったが、本当にこまったら、ケータイでおばあちゃんに電話でもしよう。少なくとも、ケータイを取り上げられてはいないのだから。
部屋のおくには、たながあり、アルバムや本がたくさんあった。つくえとイスもある。四人ですわれるようになっていた。
「なるほどなぁ、これだったのか」
啓太は、感心するように言う。そういえば、わたしがロボットを一体、持っていたのだから、啓太もここへ来るのは初めてだったのかもしれない。
啓太はわたしのうでを解放すると、一さつのアルバムを手に取った。
「見ろよ、これ。これが親父、こっちはおふくろ。で、これがオレで、これがお前だろうな」
え? わたしは、にげようと思った足を止めた。いったい、何を言っているのだろうか。
「しっかしなぁ……まさか、お前だったとは……ひでぇよ、バラバラにするなんて」
ふり返ると、啓太がアルバムを手に、泣いていた。
「啓太?」
啓太はわたしのほうを見なかった。アルバムを立て、かくれてしまう。
「オレさぁ、お前のこと、かわいいと思ってたんだ。それで、つい、意地悪しちゃってたけど、まさか、お前がふた子の妹だったなんて、知らなくて」
え? ふた子って?
「親父とおふくろ、オレたちがまだ2才くらいのときに、死んだんだよな。それで、行き場のなくなったオレたちは、親父とおふくろのそれぞれの実家で、バラバラに育てられてさぁ、そのロボットだけが、お前を見つける手がかりだったんだ。オレの持ってたロボットには、図面のかたわれだけ入ってて、お前のほうに、もう半分の図面と、GPSがとうさいされていたのさ。オレが見つけ出せるように」
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