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啓太の口から語られる真相。それでも、わたしはまだ、啓太が自分のふた子の兄だとは、信じられなかった。
「アルバムを見ろよ。ほら、オレたちの名前がコメントで入ってたぜ」
わたしは、ともかく啓太がのぞきこんでいるアルバムを、いっしょにのぞいてみた。
そこには、確かに、以下のようなコメントがあった。
「一才 啓太と有希の誕生日(たぶん、たん生日だ)」
「おもちをしょわされた啓太」
「有希 次はわたしの番!」
などなど。
でも、ということは、本当にわたしと啓太はふた子で、さっきのおばあさんは、わたしのおばあちゃんでもあるのだろう。
「有希」
啓太によびかけられる。
「オレたち、いっしょにくらさないか? 別にどっちかの家にずっといるとかじゃなくて、たとえば一週間おきに行き来する感じでもいいと思うけど。お前の知ってるばあちゃんたちにも、会わせてくれよ。オレも、自分のおふくろの両親には、小さいときしか会ってないんだから」
わたしは、まだ啓太に意地悪されるのではないかと思って、ちょっとまよった。今まで通りでいいと思ったのだけれど。
ただ、啓太が言うことももっともで、自分のおばあちゃんに会わない、というのは、またちがう気がした。
「うーん……とりあえず、うちに来てみる?」
「有希、悪かったって。もう、いじめたりしないから!」
啓太はまだ、なみだ目だった。
わたしはなんとなく、ゆるしてもいいかな、と思った。
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