プロローグ「少女への問いかけ」

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「はいはい、ほんと厄介な依頼を受けちまったなぁ俺も…」 トホホと言わんばかりにソファに腰掛けるリヒト 「そういえば家出の話だったわね あれは6年前のことよ 私、あまり城から出たことがなくてね それで友達なんて呼べるものもいなくて でも唯一私の姉のような存在だった司祭様がいたの 私はミーア姉さまって呼んでたんだけどね」 「ミーアって…それ大司祭様じゃないか! さすがお国のお姫様だな そんなお偉いさんと深い関係を持っていたなんて」 椅子に座っているルナの方に顔を向け真剣に話を聞くリヒト 時計の針の音と2人の声しかこの部屋には響かない 「まぁね 私の世話役だったんだもの 仲がいいのは当然よ」 「ふぅーん」と納得したような顔をするリヒト ルナは話し続けた 「ミーア姉さまは城の外のことをたくさん教えてくれた それでね 姉さんはもっといろんな人と話してみるべきだって言ったのよ それがきっかけで私はお父様に外出の許可を取らず城の外の城下町へ行ったの」 「またそれは大胆だな…そのあと王都は大騒ぎだろ…」 大事に育てられた姫が城の外へ行ってしまったら大騒ぎになるのは当然のこと 考えれば簡単に想像できることだ 「まぁね で、隠れてたんだけど城の騎士達と教会騎士達が私を探してて城下町は大騒ぎ 城に帰ろうにも帰れなくて宿屋の店主にこっそりお願いして一泊とめさせてもらったの もちろん翌朝起きたら騎士がいてね そのあとは城に帰ったわ」
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