もう半分の君と

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「意味がわかりません」 そうか、この人ヤバい人だ。店長を呼ぼう。そう思った端から男が畳みかける。 「このスーツと重要書類の弁償として3日だけ昼間の弟の体を貸してほしい。他に選択肢はないよ。弟はちゃんと学校も行けるし、何も問題は起こさない。中身が僕に変ってるってだけで」 不気味すぎて泣きたくなるのをぐっとこらえる。そう言えば今、店長は不在だ。 「ますます分かりません」 「僕は今、人間というものをいろいろ試着してる研修員なんだ。人間には悪魔なんて呼ばれてる種族なんだけど、こうやってちゃんと交渉してるところが紳士だろ?」 「わかりました。今日は店長が不在なので、後日また…」 「了解なんだね?」 「いえ、そうじゃなく……」 けれど自称悪魔は笑みを浮かべたまま、濡れたスーツを気にすることも無く、宵の雑踏に消えてしまった。
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