もう半分の君と

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「ちゃんと理解してくれてる顔だね。心配しなくていいよ、朔の記憶はちゃんと引き継いでるし、僕は普通に朔として学校に行って、楽しくお勉強して帰って来る。日が沈んだらちゃんと抜けてあげるし、たった3日間だ。安いもんでしょ」 「いったい何が目的で」 「研修をクリアしないとボスに認めてもらえないんだ。悪魔だって規律があってさ。かわいいJKと不埒な事しようとか思ってないから安心して」 「当たり前でしょ! その体で何か問題起こしたらただじゃ置かないから!」 頭の血管切れるんじゃないかと思うほど叫んだが、朔の顔をした悪魔はニヘラっと交わす。 「殴っても刺してもいいけど、体は朔だからお忘れなく。ねえ葉月ちゃん、3日間は日没までに帰っておいでよ。悪魔な弟と話をするのも、ちょっと楽しいかもよ?」 そう言って不意に肩を抱き寄せて来た。ふわりと朔のコロン。心臓が跳ねる。中身は朔じゃないと分っているのに振り払う事が出来なかった。 「じゃあね。また夕刻」 色気をたっぷり含んだ視線を投げ、朔の体を乗っ取った悪魔は玄関を出て行った。 けれどしばらく私の体の硬直は解けなかった。 選択肢がなかったとはいえ、私はとんでもない事を許してしまったのかもしれない。 心臓がザワザワと騒がしい。触れられた肩が、いつまでも熱かった。
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