一心同体中年体

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 !!!ジャーン!!!!  ってもんさ。  いつものことだけど、この扉が開かれると、お客さん達は驚愕の歓声を上げる。  この瞬間が一番好きだね。  なんていうんだろうな。  生きてて良かった、っていうのかな。  下田もそう思っているんだろうな。  その証拠に、今日の下田はいつもよりも、あっちこっちと走り回ってる。  サーベルの上にいる俺をなかなか迎えに来ない。  マジシャン半田もノリノリだ。  そして、俺たちの十八番。  迎えに来た下田の上に、前後ろ反対に俺が乗っかって 「こらぁ~。そっちじゃねぇ~!!」  って、あちこちウロウロ。  予想通り、会場大ウケ!!  俺たちが一通り暴れまわると、また田中に交代だ。  箱に戻って布がかけられた瞬間に回転扉で、裏へと回る。  待ち構えていた田中の背中をぼすっと叩いてやる。  !!!ジャーン!!!  シンバルの音と一緒に大歓声も聞こえてきた。  あぁ。初舞台、大成功だったな。 「お疲れさん!」  俺は下田とロータッチを決めた。
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