水彩の森

過去①

彼の名前はユウといった。
私より12cmほど背が高く、笑顔が素敵な男の子。
いつも休み時間にはヲタク仲間とカードゲームや将棋をして担任に怒られる。

席替えで前後になった。
ユウが前で私が後ろ。

授業でわからないことを相談したり、授業の合間に振り返って私のノートに変な落書きをして笑ったり。何気ない時間がとても幸せだった。

あるデートで見つけた交換日記。
同じクラスだから毎日喋れるけど、面白そうだからはじめてみた。

飽き性の2人、いつまで続くかなと思ったけど案外卒業するまで続いた。
それは今彼の家のどこかに眠っているらしい。

日記の中には質問がたくさん出されていて、1日1ページお互いがそれに答える。答えたら翌日、相手に渡すのだ。内容も面白く、例えば『相手へ抱いている思いの分だけハートを書け』とか。

確か彼が答える番で小ちゃなハートをページいっぱいに描いてくれて私の書くスペースがなくなって笑い合った。こんなにも好きでいてくれるの？と聞くと、始めたら白を全て埋めたくなった。と予想していた答えとは別のものが返ってきた。
そらそうかとその時は流したけれど、それでもページいっぱいのハートに心躍らせたものだ。