星に祈りを

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 家に帰ってからも、浩二の言葉がずっと頭に残っていた。  今まで、一番近くにいた。と思っていたけれど、浩二の私に対する態度は、幼馴染でしかないということが、はっきりとわかって辛かった。 「研究しなきゃ…」  ボロが出ないよう、由衣さんでいられるよう、浩二に好かれていられるよう、由衣さんになりきらなきゃいけない。  手始めに、机の上を見渡してみる。  今朝は時間がなくて、何もできなかった。  教科書。ノート。参考書。筆記用具。  受験生だからか、ほとんどが勉強道具。  引き出しにも、これと言って、目に留まる物はない。  由衣さんの部屋は綺麗に整頓されていて、家具も白一色で揃えられていた。 「あれ?」  本棚をよく見ると、背表紙が何もない、日記、みたいな物をみつけた。 「いいよね…。見ても」  一応、ごめんなさいと、両手を合わせると、私は、それを開いた。  私は後悔したんだ。由衣さんの日記を見たことを。  読んだ後、力なくそれを閉じると、浩二にメールをした。 《今度の日曜日、一緒にいてくれませんか?》  返信はすぐにきた。 《午前中は部活だけれど、その後でいいかな》  私は、生まれてはじめてで、最後のデートの約束を浩二とした。
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