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ねぇ、浩二。私わかったの。
好きなだけじゃダメなんだって。時間は気持ちとは比例しないこともあるんだって。
一は必ず増えるわけじゃないんだね。
幼馴染という一は、一生幼馴染という一の数字でしかない。
違う人もいるかもしれないけれど、浩二にとっての私はそう。
日曜日。私は飛びきりのおしゃれをして待ち合わせ場所に向かった。
一時に少し遅れてやって来た浩二は、私を見つけると、満面の笑顔でこちらに手を振った。
「ごめん! 遅れた」
「ううん。大丈夫」
私たちは並んで歩き出した。着いたのは、海近くにある遊園地。
「ここ、ずっと来たかったの」
小学生の頃、私の家族と浩二の家族とで遊びに来た。
迷子になって、泣き叫ぶ私を、浩二は見つけてくれて、合流した両親と一緒に観覧車に乗った。
見えた景色は、とても綺麗で。
いつか、また今度は浩二と二人で乗りたいと、ずっと思っていた。
「観覧車乗ろうよ」
気持ちが伝わったのか、浩二は私を誘ってくれた。
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