星に祈りを

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 由衣さんの日記。  なりたくて、なれなくて、届かないと妬んだ彼女は、私と同じ普通の女の子だった。  好きな人のことで悩む。好きな人のため、綺麗になりたいと願う。  ただの恋をする女の子。  白いページには、少し右上がりの青い字で、愛美という文字があった。  今日も、浩二くんが愛美ちゃんの話をした。  幼馴染ってどんな感じなんだろう。いいな。私の知らない浩二くんをたくさん愛美ちゃんは知ってて。  友達たくさんいるみたい。私とは違うな、みんなに好かれていいな。  もしかしたら、浩二くんも、愛美ちゃんを好きなときあったのかな…。  ううん。信じなくちゃ。浩二くんの彼女は私なんだから。  浩二君に似合う人になる。  由衣さんは不安でも、信じること、努力することを選んでいた。  浩二の体の心配をして、お弁当を差し入れたり、浩二の興味のある本を探して紹介したり。押しつけがましくない程度に勉強を教えたり。  浩二のために綺麗になれるよう、スキンケアだけでなく。好きな話で盛り上がれるよう、サッカーの知識もつけたり。自分は嫌いなホラー映画を観たり。  一緒にいる時間を大切にするよう、浩二が大好きだから。 「…悔しいな」  私だって、好きだった。世界で一番好きだと思っていた。  でも、ずっと一緒にいる以外、私は何かをしただろうか。  いつも、もっともっと望んで。願うばかりで、現実的に何かをしてはこなかった。  浩二のことも、いつかその時が来たら、浩二から告白してくれる。  そう夢を見て。  いつだって笑ってくれる浩二に安心していた。このままでも大丈夫だと。  由衣さんのように、自分から、気持ちを伝えなかった。  小さくても、少しずつ、ゆっくりとでも目を逸らさず。  由衣さんは、浩二の心に近付いて行ったんだ。
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