星に祈りを

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 帰り道、いつも通り浩二は、休み時間サッカーしたら、ボールが花壇に入って大変だった、の。授業中居眠りしてた奴が、先生に教科書ではたかれて笑えた、だの。くだらない話を楽しそうにしていた。  由衣先輩とのことを聞きたかった。  いつから付き合っているの? どうして何も言ってくれないの?  私と一緒にいてもいいの?  だけれど、浩二の笑顔を見ていたら、何も言えなかった。  私の大好きな顔で、その笑顔で、肯定されるのが嫌だった。  事実だったとしても、本人の口から聞くまでは、現実にはならない。  私の浩二は、他人の物にはならない。  自分本位で身勝手な自分。  私はたった一人の幼馴染の初めての恋人を認めることができなかった。
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