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「じゃあ、また昼休みに」
チャイムが鳴る五分前、浩二は私に言った。
「放課後は? 私待っていてもいいよ」
少しでも長く一緒にいたい私は、提案した。
「今日は、部活遅くなるから。心配だから先に帰っていて」
「大丈夫だよ。本読んで待ってるから。もっと一緒にいたいの」
食い下がると、浩二は驚いた顔をした。
「どうしたの? そんなこと言ってくれるなんて。…すごく嬉しいけどさ」
「ダメ?」
畳みかけるように言う。
「…嬉しいけど、やっぱりダメ。女の子なんだから、早く帰らなきゃ」
――女の子なんだから。
女の子だけれど、私浩二にそんなこと言われたことないよ。
愛美の言葉が出そうになる。
「わかった。また、ね」
心を押し殺して、私は笑顔を浩二に向けた。
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