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プロローグ
2019年2月1日(金)
つい先日、俺は成人式を終えたばかりだった。
青春の時を共に過ごした懐かしい顔が並ぶ中、1人の友人の姿がそこに無かったことを今頃になって思い出す。
毎月、1日になると”その友人”の事を思い出すのだ。
それは俺達の道しるべであり、大切な友人が生きた証。
1日は、大昔で言うなら新月のこと。とはいえ、新月は真っ暗で見る事が出来ない。
昔の人は月が見え始める3日目頃を三日月とし、そこから数えて3日遡った日を1日としていたらしい。
新月といえば、新月が現れてから48時間以内に願い事を最低2つ。多くても10個以内。紙に書くと叶うというジンクスがある。
願い事は、新月が現れてから考え始めること。また、月の効力が無効になる時間帯が存在し、その時間帯は避けなければならないこと等いくつかルールが存在するが、そもそも俺はそんなオカルト染みた事には興味が無かった。
はずなんだが……
今はこの通り、多少嗜んだ程度には詳しくなってしまっている。
というのも原因は2年前。俺がまだ高校生だった頃、俺の周りで起きた不思議な出来事が原因だった。
大切な人を失った高校時代。
だがその過去に囚われることなく、俺は今も前を向いて歩いている。
月に一度、そいつが今も俺に『ちゃんと前を向けてる?』って心に語りかけてくるからだ。
ほんとお節介だよな。
自分はもうこの世にいないのに、それでも毎月俺達の心の中に強く現れて、俺達が迷わないように道を示してくれる。
俺達は、その友人のおかげで、先が見えない未来を道を踏み外すことなく歩き出していけるのだ。
大丈夫、俺たちはちゃんと前を向いているよ。だからお前も安心して眠っていてくれ。
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