夏を閉じ込めた窓

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クソ暑い中、クソみたいに蒸す教室で 黙々とプリントを消化していく。 ときに隣のアホな親友に解き方を教え、 ときに反対隣の真面目委員長に解き方を請う。 一応いるだけの教師は団扇を仰ぎながら、外にいたテニス部の顧問と、開け放たれた窓越しに「暑いね~」なんて話をしている。 問題をひと段落させたやつがふぅ、と息をつくと、下の自販機で買ったであろうコーラを飲んだ。 初めはコツコツ、シュッシュッとシャーペンの音しか無かった教室、今ではすっかり人の声で溢れている。 前の方の席の女子なんて、ケータイをいじり始めた。 俺は必死で問題と向き合うのも阿呆らしく思い、シャーペンを置き、椅子にもたれ掛かった。 隣の委員長がちらっと俺を見て、同じようにペンを置いた。 意外だな、と思うも、同じタイミングで問題に手をつけたはずが、委員長と俺では何故か進度の差がありすぎる。 かなりの集中力で問題を解いていたであろう委員長はもう既に終わる寸前といったところか。 一方のアホを見れば、初めの1枚の終わり部分。 相変わらずなようでほっと息をつく。 青春。 きっとこういうのを青春と呼ぶんだろう。 暑さを耐えていることも、 プリントとにらめっこしてることも、 汗だくで部活に励む運動部も、 扇風機で涼む文化部も、 コーラを飲んでるあいつも、 生徒と雑談する教師も、 キャパオーバーで死んでる親友も、 黙々と問題を解く真面目委員長も、 パックのりんごジュースにストローをさす俺も。 青春を謳歌しているんだろう。 大人から見れば、 小中学生から見れば、 懐かしの、憧れの、青春なんだろう。 「あっつー……」 俺は自販機に飲み物を買いに行こうと、委員長と親友の背を小突き、立ち上がる。 青空の広がる窓に背を向けて。 青い夏
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