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あれはあのあとどうなるのだろうか。
あのまま断面の肉がぼこぼこと膨れあがっていって、やがて新しく人間の頭部の形を象って、頭頂部からふさふさと毛が生えてきて、最後に目鼻と口のパーツが浮き上がってきたなら、もうあの身体は私のものでは無くなってしまうだろう。
そのあとはどうなるのだろう。私の意識はどこへ行くのだろう。
そもそもこれは夢なのだろうか。現実なのだろうか。
私はもう人ではなくなってしまったのだろうか。
揺られながらそんな事を考えていると、急に祖母が袋を床に置いた。
緩く縛ってあった袋の口を解いた祖母が、両手を袋の中に入れてくる。
首を退かせて私の頭部を探り当てた祖母の手は、年老いた女のものとは思えない程に荒々しく、力も強かった。
為す術もなく持ち上げられた私の頭部はそのまま、まな板の上にごろりと転がされる。
顔面が上を向くように頭部の向きを調整した祖母と改めて目を合わせた時、耳まで両端を吊り上げた祖母の
口から、涎が一滴私の頬にぽとりと垂れた。
出刃包丁を鼻っ柱に当てられた所で、ようやく私は昨晩見た夢の内容を思い出したのである。
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