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ざらざらとした固い藁束のような肌触りを頬に感じて目を覚ます。
真っ先に視界に飛び込んできたのは畳と、箪笥や卓袱台の足だった。
昨夜は床に就く直前まで強か酒を飲んでいたが、それでも一晩の記憶が抜け落ちる程の量ではなかったし、確かに布団の中に潜り込んだ記憶もある。
寝ている間に上掛けを除けて抜け出てしまったのだろうか。
今までにも寝汗を掻きつつ何度も寝返りを打つほどに恐ろしい夢を見た夜は二三度あったが、布団から抜け出てしまう程暴れ回った事はない。
そういえば昨夜は例えようのない程に恐ろしい夢を見た気がするが、それを現実と思い込んでジタバタするうちに布団も枕も蹴散らして
今寝転がっているこの場所まで畳を泳いできたという事なのだろうか――。
そんなに器用な質でもないのだが。
不思議に思いつつ寝返りを打つと、少し離れた所でパタンと座布団を打つような音が聞こえた。
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