永遠の星

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「――ねえ。星って過去の光なの、知ってる?」  突然、魔の少女は奇妙なことを問いかける。小夜子へ魔法をかけるように。 「星が、過去の、光……?」  少女の呟きが、小夜子には理解できなかった。 「この星も、あの暗い空も。ずっと遠い場所で光っているから、その光が到達するまで時間がかかるのよ」 「遠い、場所……?」  空は確かに遠い。だが、少女の言い方は、どこか違う。 「音を響かせると、少し遅れて聞こえる。光もそう、たどり着くまですぐじゃない。あの場所は遠すぎて、そう感じにくいだけ。同じなのよ」  小夜子の脳内は、女学校で習った知識を総動員して理解しようとするが、見当もつかない。 「だから、いつか生き絶え、眠る。私達と星も、一緒よ。ちょっと遠いから、過去の姿だけを、この地上に映してるだけなの」 「あ、あの、なにを?」 「――あなたが永遠を望んだ、あの星も。もう消えたかもしれない、夢の幻なのよ」  その言葉は、なぜか意味はわからなくても、小夜子の唇を歪ませるものだった。 「……あなた様は、詐欺師か魔術士の類なのですか」 「魔女って言ってるのにー」 「では、あなた様の言葉は、信用がおけないと考えていいのですね?」  気が狂っているような振る舞いも、そうした手口なのかもしれない。  小夜子はそう納得し、どうここから逃れるか、考え始めた時だった。 「あの方との永遠が欲しいくせに、真実を欲するのは、愉快だわね」  その指摘は、小夜子の胸をかき回す。 (どうして、あの方のことを?)  一言も、告げていないはずなのに、なぜ見抜かれたのか。……小夜子が、永遠を欲する理由を。 「欲しい?」 「えっ」 「永遠。あの星のように、私のように、なりたい?」  詐欺師の語る、実体のない、夢への誘惑。 「――なれるのなら、すぐにでも」  なのにその金色の瞳が語る言葉は、あの空へとつながるようで、そう、皮肉を返してしまう。 「じゃあ……ついてくる? この、永遠の世界の、道連れに」
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