永遠の星

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 ****** 「久しぶりね。こうして、夜に忍ばれること」  厳しい寮母の隙を見て、逢瀬を過ごす。その緊張感が心地よい時も確かにあったと、小夜子は覚えている。 「……突然、失礼します」  けれど最近、あの方――美智子は、そうした行為に複雑な顔を浮かべるようになった。  その理由を、噂で知り、耐えていたけれど。 「嘘ですよね、美智子様」  今日は、もう、耐えられなかった。  だから、今、ここにいる。 「ご結婚、なさること」 「――小夜子さんは、やはり、まっすぐね。そう聞かれると、答えに困ってしまうわ」  いつも、穏やかな笑みを浮かべていた美智子。今は硬い表情で、小夜子をじっと見つめている。 「困るなら、お答えなさらず、否定なさってください」  そうできないということは、つまり、噂が真実だと言うことに他ならない。  無言を貫く美智子の様子に、小夜子は食い下がる。  ――小夜子も、わかってはいる。見初められ、それが家のためであれば、女の身では断れないということも。 (でも美智子様は、そうした方ではないと、想っていたのに) 「本当に、納得されていることなのですか」 「その問いかけは、辛いものね」 「でしたら、美智子様」  つなぐ手を強くし、小夜子は消え入りそうな声を届ける。 「このまま、寮をでましょう。……私と、一緒に」
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