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「ば……ばっかじゃないの?」
嫌な予感がして、お尻を後ずさりさせ逃げる。
「本気」
夜一は近づくと、あたしの目の前で屈みながら目線を合わせた。立てた足の間に方膝を割入れてしゃがむ。
「なんで?」
「だって、あんな恥ずかしい顔見せれる? 彼氏に」
彼の細い指先が、あたしのうなじを線をぼかすみたいに触れる。
「やっ」
じかに触れた指に声が漏れた。触れても触れなくても夜一はあたしをくすぐったくさせるみたいだ。
「濱田さんって、本当、こういうの苦手なんだね」
夜一は口を開けて笑った。恥ずかしいと思いながらも夜一の笑顔を見たのは久しぶりだった。
「もしかして、か……からかった?」
「うん。だって、面白いから」
「ひ……ひどい」
「でも昔、俺のことからかってたでしょ?」
「だからなの?」
「何が?」
「なんかあたしに意地悪じゃね……だよね?」
ふっと作ったような笑みを見せると、「どうだろうね」と言った。
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