星のない空への願い

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指名を受け5番テーブルへ行くと、お得意様の河上様ともう一人、見慣れない男が座っていた。 「河上様、本日もご指名ありがとうございます。ミドリです。間に失礼します」 自分では気持ち悪いと思う声で挨拶し、河上様と男の間に座り水割りを作り始めた。 「ミドリちゃん、さっきはかなり威勢のいい声で叫んでいたね」 河上様は穏やかな顔で突っ込んでくる。 「見てらしたんですか。あぁ、恥ずかしい」 河上様は「なかなか男らしくて良かったよ」と水割りをくいっと飲んだ。 そっちの方がホントの自分なんだけど。 「河上様、こちらのお客様は?」 男の方へ向き、話を逸らした。 河上様の話だと、男は河上様の部下で降矢<ふるや>という。 仕事はそつなくこなし、先輩や後輩からも慕われているらしい。 しかし女っ気が全くなく、ここの様な場所にも来たことがないという真面目さ。 『これも社会勉強だよ』と河上様が無理矢理連れてきたそうだ。 スーツもビシッと決まっていて、その上からでも分かる、割りと筋肉質の腕と太もも。 自分が憧れる体型。 思わずその右腕をガシッと掴んでいた。その刹那……
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