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店が終了し外へ出ると、降矢はビルとビルの間にひっそりと立っていた。
近寄って腕を組もうとするとすっと避けられた。
中身は男とはいえ自分で言うのもなんだが、店のNo.1だ。
男たちの方から寄ってくるのに、と一瞬ムッとしたが「こちらへ」と案内され向かったのはカラオケボックス。
入ったもののお互い歌うことも話すこともなく向かい合わせにただ座っていた。
おそらく降矢は自分に何か言いたくてアフターを頼んできたと思うのに何も言わない。
数分経ち、自分が居ても立ってもいられなくなり、もう、ここは『地』を出していこうと思った。
「降矢さん、自分に何か話があったんじゃねぇの?」
店とは違う口調に降矢は少し驚いたような顔をしたが、ふわりと柔らかい笑みを見せた。
それにもまたドキッとした。
「そ、それです。初めてお店に行った日、ミドリさんは女性なのに男性らしい話し方してて……羨ましいと思いました」
へっ?と少し引いたが、真剣な面持ちで話したそうにしており「話してみろよ」と促した。
「実をいうと……」と降矢は話し始めた。
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